熊八流

料理

 誤解を恐れずに言いますと、「料理は愛情」とは思いません。愛情が必要無いとは思いませんが、愛情だけでは料理は作れません。 
 極端な言い方をすれば、料理は、材料を化学変化させる行為です。例えば、「お湯に鰹節を入れるとダシがとれる」のは、浸透圧によって、味は、濃い方から、薄い方に移るからです。料理をする上で、化学変化の理論と現象を理解すれば、料理のコツがつかめ、もっと美味しい料理が作れるはずです。
 なんだか、料理が味気ない物に成ってしまいそうですが、愛情が要らないとか、無駄だとか言っているのでありません。料理を、もっと現実的に考えて欲しいんです。いくら愛していても、技術が無ければ料理は作れないんです。

 当然、化学では解決しない部分があります。それは、「美味しさ」です。
味覚は人それぞれ違います。日本人と外国人は元より、日本人でも、好みはそれぞれです。と言う事は、総ての人が同じ様に美味しいと感じる料理を作るのは、プロの料理人でも無理だと思います。

 何が言いたいのか?料理は「愛情」では無くて「食べ物」です。
愛とか心とか、精神的な表現で料理を語るのは好きではありません。愛情には味は無いし、愛情では化学変化は起こりません。もしも「自分の作る料理が納得のいく味に成らないのは、愛情が足りないからだ。」と思っている方がいるならば、それは絶対に違います。
 なんだか屁理屈を並べてしまいましたが、料理は、もっと簡単に、手軽に、チョイチョイと作れば良いんです。 美味しさには個人差がありますが、美味しさは点では無く、かなりの広さを持った面です。せぇ〜ので料理を作って、出来上がった料理の味が、その面の中に入っていれば、美味しいんです。
美味しさの許容範囲は、かなり広いものだと思いますが、愛情という言葉が登場するとしたら、その料理を食べる人の、味の許容範囲を考えること。「この人は、こういう味が好きなはず。」と言う思いやりでしょうか? 難しく考える必要はありません。チョイチョイと作れば良いんです。でも、愛情では料理は作れません。 気合いだけでは、オリンピックで金メダルはとれないんです。美味しい料理を作るのに必要なのは、愛情ではなくて技術です。 その技術を解りやすく伝えられたら・・・と思っております。

レシピ

 料理の仕事をさせていただいていますから、当然、レシピを書きます。 
レシピを書くと、いつも思うんですが、厳密に言って、同じ材料は二つ無いんです。例えば、玉葱100gと言っても、春と冬では味が違うし、畑が違えば、味は違います。同じ畑の隣りどうしで育ったとしても、やはり厳密には違うものです。 完璧なレシピは、あり得ないと言う事でもあります・・・
 つまり、レシピはあくまでも目安で、美味しさの最終判断は、自分でするしか無いんですねぇ〜

アロハシャツ

 私生活でも、仕事でも、1年365日、ほぼ毎日アロハシャツです。
当然、常識的に判断して、アロハシャツでは失礼に成る場合は、スーツにネクタイ等にしますし、料理を作ったり、料理人としての仕事で、演出として必要な場合はコックコート(白衣)を着ますが、それ以外は、近所に買い物に行く時だってアロハシャツにGパン。

実は、アロハ歴はそれほど長くなくて10年ほど。完全アロハ化(?)したのは2005年の秋から。何でアロハシャツなのか?ずっと黒い服ばかり着ていた時期があって、その反動もあるんですが、何より南の島が好きで、海が好きで、夏が好きだから。アロハシャツの、あのゆったりした感じも、好きなんですねぇ。そして、アロハシャツならいいオッサンが派手な色の服を着てても、何となく許されると、自分勝手に決めつけているんですねぇ〜。
たかがシャツなんですが、実感として、嗜好や考え方も変わりました。前向きに、外向きに、開いた感じに・・・。

冬はどうしてるのか?と、心配してくださる方もいらっしゃるでしょうが、ご安心下さい。アロハシャツには、ロングスリーブ(長袖)もあるんです。長袖アロハは、柄と色合いをちゃんと選んで、ハワイの方か着れば、れっきとした正装です。寒い時期は、長袖アロハの上に、革ジャンやらダウンやらを着込んでます。実は、そのジャンバーやらダウンやらにも、本人としてはこだわりがあったりもしていますが・・・。

持ってるアロハシャツは、現在300着くらい。長袖50着、半袖250着ってところでしょうか・・・。自分にとってのアロハシャツは着るものなので、ヴィンテージは持ってません(まぁ正直言って、高くて買えないんですけど)。アロハシャツの歴史は、何冊かの本を読んだ程度ですが、これがなかなか面白い。日本とも関わりがあったりもします。主に着るのはハワイ柄で、和柄はあまり着ません。 理由は簡単、この人相で和柄のアロハを着ると、かなり危ない感じに成って、回りに迷惑をかけるから!です。
夢は、ライトニング( Lightning )で、アロハシャツの取材をしてもらうことですかねぇ〜ファッションや服装を語る立場には無いですが、アロハシャツについて、自分はこう思う・・・って言う話しなら出来そうな気がします。

アロハシャツ2

 何処で買うのか?料理人なんだから、もっと料理の事を書けば良さそうなもんですが、止まらなくなったので、勢いに任せて書きますと・・・
アロハを買うのは主にマウナケア ギャラリーズって言うお店で、横浜と舞浜にあります。まぁ9割以上は、このお店で買っています。一年中、アロハが売るほどおいてあるので(お店だってぇ〜の!)、興味のある方はどうぞ。

ただし、かなりの数のアロハがあるので、選ぶのに一苦労かもしれません。お店の方は、皆さん感じの良い方なので(かなりゴマすってるなぁ)、気軽に声かけてみると良いと思います。アロハには、柄やデザインに意味があったりするので、ちょっとした雑学の勉強にも成ったりしますヨ。熊八がこだわっているのは、主にアロハシャツですが、ジュエリーとか小物とかジャケットとかTシャツとかトレーナーとか、各種取り揃えております。
 
お手入れ方法?アロハシャツの素材は、レーヨンだったりコットンだったりしますが、個人的には、レーヨンの方が好きですかねぇ〜。ところが、残念な事に、レーヨンは、洗濯機での洗濯はできません。出来ない事は無いですが、もの凄く縮みます。ど〜しても、ご自分で洗濯したい方は、縮み分をみこして、大きいサイズを買うか、縮んでも無理矢理着るかですが、熊八は、毎回クリーニングに出します。まぁ、長く、大事に着るためには仕方ないですねぇ。その辺の扱い方もお店の方に聞いて頂ければ、色々教えてもらえます。(ちょっと話しが長く成る傾向にあるスタッフもいるので、そのスタッフにあたってしまったら、残念、 諦めて最後まで話しを聞いて下さい。)

アロハシャツは、やっぱり夏の服ですから、夏に着るのが一番です。一年中着てるのは、極少数の変わり者だけです。でも、夏に着るアロハシャツは、ホントに気持ち良いですヨ。夏の暑い日に着るお気に入りのアロハシャツが1枚あっても良いと思うんですけどねぇ〜。

自称「料理芸人」

 いったい、何処を目指しているのか? 日本料理の達人に成りたいとか、世界に通用するフランス料理のシェフに成りたいとか、大繁盛のレストランのオーナーシェフに成りたいとか、そういう事では無いんです。目指しているのは、「料理」を伝えるプロです。作り方、食べ方、コツ、美味しいお店、珍しい食材、食文化等々、料理に関わることなら何でも良いんです。それを伝えるプロに成りたいんです。
料理の世界に軸足を置く限り、料理以外の仕事もドンドンさせて頂きます。バラエティーやクイズ番組、旅番組、ドラマ、ものまね番組、ラジオ、イベント、トークショー何でも有りです。理想は、料理漫談(?)・・・料理を作らず、料理の話しで、お客様に満足してもらえたら・・・と思っています。

名刺の肩書きは「料理人」です。これは、名刺交換の時に、肩書きが料理芸人では、相手に失礼かなぁ〜・・・と言う、気の小ささと、「料理人」と言う広い枠の中に、世界各国の専門料理店の料理長や、料理研究家等々と料理芸人が含まれると思っているからです。広い枠と言っても料理人である以上、料理を作れます。語るだけではありません。

 料理芸人と言う自信の裏付けは? 料理の世界で、熊八より料理が上手い料理人は、数え切れない程いらっしゃいます。でも、お客様の前で、しゃべりながら、相手の話しを聞きながら、時には歌を唄いながら料理が作れる料理人は、あんまりいないんです。芸能界には、プロ顔負けの腕前を持つ料理上手がいらっしゃいます。この方達は、当然、しゃべりながら、相手の話しを聞きながら料理を作れます。熊八よりトークの上手い方、容姿の良い方はたくさんいらっしゃいます。
この方達との決定的な違いは、熊八は「見習いから、一人前になるまで、飲食店でプロとして働いた事がある。」と言う事だけです。たったそれだけですがその経験が無い方とは、洗った鍋の数、皮をむいた野菜の数、おろした魚の数、焼いた肉の数、怒られた数が違います。それが自信です。

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